関 夢園 関 夢園
Interview 05

半導体機器―電子ビーム描画装置

SE事業部門
SE営業部
関 夢園

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電子ビーム描画装置を普及させ
中国の半導体産業発展に寄与

経済発展が著しい中国市場では、電子ビーム描画装置の需要が年々、高まっている。8ナノメートル以下の最小線幅で、様々な設計パターンを任意に描き出す電子ビーム描画装置は、その自在かつ微細パターンの加工性能を有することから、輸出にも一定の規制がある。中国出身の関夢園は、母国の半導体産業の発展に貢献できることを誇りに、日々、広大な中国大陸を駆け巡っている。

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電子ビーム描画装置の需要高まる中国

携帯電話やパソコン、デジタルカメラなどの電子機器には、全てLSIが組み込まれていることは当然だが、このLSIの微細な回路パターンを作る上で、電子ビーム描画装置が不可欠だ。微細な線幅でパターンを描き出す電子ビーム描画装置は、床振動や磁場変動、温度変動に強く影響を受けるので、設置場所の環境も考慮しなければならないほど、繊細な装置である。
半導体産業の発展に力を入れている中国において、この描画装置の需要が年々高まっている。この広大な中国大陸で営業を担当しているのが、関夢園である。関は吉林省長春市の出身だが、14歳から日本に住んでおり、日本語も堪能なバイリンガルである。
関がいま扱っている描画装置は、「JBX-9500FS」と「JBX-8100FS」の2機種。両機種とも、研究開発用と特定製品の生産用に利用されている。
「お客様は中国の半導体メーカーと、大学や国立研究機関など超一流の研究所が中心です。これまで北京の清華大学、上海の復旦大学、中国科学院研究所などに納入しました。
一流の研究者が相手ですので、知識も技術もかなわない。教えてもらうことが多く、謙虚な心を持つことが大切です。お客様の要求をよく聞いて、用途に合わせてオプションや特別注文品などを紹介し、採用を提案します。」

大都市だけでなく地方都市もカバー

営業で苦労するのが輸出規制だ。描画装置は微細加工を自在に行うことができるため、中国への輸出には一定の規制がある。日本の行政に相談したり交渉したりすることもあるという。
「もう1つの苦労は、予定が急に変わることです。中国に出張するときはもちろん、事前にアポを取り、日程を決めるのですが、その変更がよくあるので、直前まで気を許せません。」と関は言う。
毎月2回出張し、1回当たり3~4日から長いときには1週間滞在するので、ほぼ月の半分は中国にいる。
「ともかく中国は広いので、今回は上海周辺、次回は北京とかエリアを決めて回らないと、移動だけで時間を取られてしまいます。とはいえ、お客様は大都市に限らず、地方都市でもハイテク企業を誘致しているので、近くまで鉄道で行き、降りてから1時間かけてタクシーで向かうということも度々です。
福建省、江蘇省ではスタートアップ企業も多いので、かなり辺鄙な場所にありますよ。」と笑う。
中国では日本同様、大学も研究機関も入札制なので、時間をかけて入札し、ようやく契約できるという寸前でキャンセルされることもある。
「支払いはドルではなく元だとか、中国独特の商習慣もあるので、最初は戸惑いました。あと、連絡はほとんど電子メールを使わずに、WeChatというメッセンジャーが中心で、ひんぱんにやりとりがあるので、そのコミュニケーションを大切にしないといけません。ただ、土日を問わず送られてくるので困っていますが…。」

競合他社にはないメンテナンス体制

競合も数社あるが、日本電子の強みは、上海にメンテナンス専門の子会社を持っていることだ。複数名の日本人を含めて10名以上のエンジニアがおり、トラブルへの対応や定期的なメンテナンスを行っている。
「他社は、そこまで体制が整っていないので、大きなアピールポイントになります。自社のクリーンルームを有し、交換部品・消耗品を現地で保管・管理、モノによっては再生までしているので、すぐに交換できます。クイックレスポンスでは他社に負けません。」
中国の半導体メーカーはまだ発展途上なので、描画装置を売るだけでなく、製品作りのノウハウを伝えるのも仕事だと関は言う。
「装置を使いこなすための提案やアドバイスが、とても感謝されます。時には数週間、技術者を派遣して問題を解決することもあります。」
冒頭で述べたように、描画装置は床振動や磁場変動・温度変動に影響を受けやすいので、取引先の周辺環境を調べ、地下鉄などがかなり遠くにあっても除振台の設置を提案する。磁場変動があれば磁場キャンセラーを用意したり、空調についても温度対策などをアドバイスしたりする。
「自分が売った装置を搬入するときには緊張します。振動に弱いですから、ユニットを落としたりしたら大事です。梱包を解いて、無事に設置できたときは本当にホッとします。」

中国はますます魅力的なマーケットに

関は営業の心構えとして、顧客の要求をきちんと技術開発のメンバーに伝えることを挙げた。
「ただ、お客様の話す言葉が、専門用語が多くてよくわからないときもあります。しっかり確認しないと技術開発の人に叱られるので、なるべく情報を集めて知識を広げることが重要です。」
中国では、教育機関への助成が日本とは比較にならないほどの予算規模に拡大しており、今後、ますます魅力的なマーケットになる。
「大学が予算を立てる際には、見積りを求められることが多くなっています。中国は急速に技術力も発展していますが、描画装置のような高度な機械は、お金があればすぐできるようなものではありません。日本電子の製品は中国でますます必要になるでしょう。」
関は現在の仕事について「中国の発展の一環として、半導体の分野で役に立てることは私の誇りです。両親も喜んでいます。」と言う。
今後の夢については、こう語る。
「中国の大学や研究所でも私の名が知られて、電子ビーム描画装置イコール『関』と言われたいですね。」
描画装置がもっと普及すれば、日本電子と関の名が、その代名詞となる日が来るだろう。

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