川合 修司, 遠藤 徳明 川合 修司, 遠藤 徳明
Interview 07

半導体機器―半導体TEM

EM事業ユニット
EMアプリケーション部
マテリアルグループ
グループ長
遠藤 徳明

EM事業ユニット
EM第2技術開発部
第2グループ
第2チーム 主事
川合 修司

  • 川合 修司, 遠藤 徳明1
  • 川合 修司, 遠藤 徳明2
  • 川合 修司, 遠藤 徳明3

半導体検査に不可欠となる
自動化したTEMを新発売

半導体の微細化が進み、これまでのようにSEM(走査電子顕微鏡)による検査では、要求に応えられなくなってきた。そこで、TEM(透過電子顕微鏡)の出番となるが、従来の装置では手作業が中心で、スピーディーにデータを取得することは難しかった。日本電子は、サンプルの撮影を自動化し、データを取得することが可能な新機種を市場に投入。半導体検査・解析用のTEMとして普及が期待されている。

川合 修司, 遠藤 徳明1
川合 修司, 遠藤 徳明2
川合 修司, 遠藤 徳明3

日本電子の技術の粋を集めた製品

半導体の微細化が劇的に進み、検査用としてこれまでSEMが利用されてきたが、その分解能では要求に応えられなくなってきた。そのため、TEMが代わりに使われるようになった。しかし、TEMを使いこなすには、操作や分析に慣れた技術者が必要となるし、手作業なので時間がかかる。
そこで、日本電子は半導体業界のニーズに応えて、半導体検査・解析用のTEMを開発、サンプルの視野を自動で合わせて、データを連続的に取得できる自動化されたハイスループット解析電子顕微鏡JEM-ACE200F(以下、ACE200F)を2018年末に市場へ投入した。
開発プロジェクトのリーダーである川合修司は、開発のきっかけをこう語る。
「半導体の構造が極小化する中で、プロセス開発も複雑になり、大量のサンプルを原子レベルで分析し、データを取得する必要が出てきました。複数の大手半導体メーカーから強いアプローチがあり、それらのお客様のリクエストを取り入れながら、システムを作り込んできました。」
この新しいACE200Fのアプリケーションサポートや営業支援活動を行っている遠藤徳明は「長年当社が培ってきた技術の粋を集めた製品と言ってもいい。本製品は機械的や電気的な最新技術に加えて、最新のシステムを取り入れています。」と語る。

社内横断プロジェクトで開発

川合も「TEM開発部門の成果を取り入れただけではない。」と言う。 「生産現場ともディスカッションを繰り返し、安定的に生産できるように作り込みました。技術開発から設計、アプリケーション、生産、サービス、出荷部門まで関わる社内横断的なプロジェクトであり、私はそのリーダーとしてまとめ上げました。いろいろな意見が出てくるので、それをうまく収束させるのが大変でした。しかし、より良くしよう、トラブルを減らしたいというそれぞれの思いがあって意見が出てくるので、うまく取り入れれば、製品をブラッシュアップしていけるのです。」遠藤のアプリケーション部は、顧客と会社をつなぐ役割がある。「我々がお客様のニーズを一番知っているので、使う立場から評価し、その意見を集約して製品開発に伝えていきます。最終的に我々が製品を評価し、お客様に対してデモを行い、技術や営業と協力して受注に結びつけます。そのため、開発の最初から関わり、ソフトのインターフェイスまで話し合いました。ACE200Fの完成にゴールはありません。半導体が進化すればお客様のニーズも変わる。それに対応するように、開発に働きかけることが私たちの仕事です。今回の新機種は、自信を持ってお客様に提供できる製品になりました。」

半導体検査のコスト削減に貢献

半導体メーカーはこれまで、人海戦術でTEMを使い、半導体検査を行ってきた。自動化によるコスト削減効果は大きい。
「お客様の要求レベルにどれだけ近づくことができるのか、それは大変でした。何しろ原子数十個レベルの視野で自動的にピントを合わせて精度の高いデータを取らなければなりません。視野を合わせるために、頻繁にサンプルステージを駆動させますが、データを取得するときは、止まっているように見えなければデータを取得できません。そのため、なるべく動かないように工夫して、高速で撮影するなど、複数の技術を組み合わせてできあがっています。連続的に無人で安定して撮影し続けるには、いろいろな部署の知恵を借りなければなりませんでした。」と川合は回想する。
遠藤は自動化のメリットをこう語る。「日本電子としても、材料系のTEMでこれだけの量のサンプル撮影を自動化したのは、初めてのことです。TEMのデータ精度は、オペレーターの熟練度で差が出てしまうので、自動化によってスピードだけでなく、標準化できるメリットもあります。自動化で不要になったオペレーターは、データの解析に専念でき、撮影から解析という一連の流れにかかる時間も短縮できます。」
完成できた喜びについて川合は「原子が見える20ナノメートルの視野で連続的に観察できたことが一番うれしかった。」と語る。
遠藤は今回のACE200Fに関わらず、TEMを購入した取引先は、最低でも10年間は使い続けるのでその間のサポートが重要と語る。
「これまで、競合他社から当社のTEMに乗り換えてくれたお客様もいました。もちろん、製品の性能もありますが、私が強調するのは、しっかりサポートしますということ。特に、民間企業ではそれが選定のポイントになることが多くあります。ACE200Fでは、さらに密接な信頼関係が必要になるでしょう。」

今後はAIを解析に活用

自動化の次に来る開発の方向性について、川合はこう語る。「自動化の延長線上にはAI(人工知能)があります。今後はAIを取り入れて解析に活かしていきたいと思います。自動で取ったデータを解析に使えるかどうかAIが判断する。」
TEMは、これまで学術研究などアカデミックの場で使われることが多かったが、自動化を果たしたことで生産現場での利用が増えていくと期待されている。
「TEMを自動化したことで、新たなニーズが生まれています。これまでTEMは基礎研究などに使われる特殊な装置でしたが、自動化によって検査装置に昇華させることができました。今後、民間企業の材料開発だけでなく、品質管理においてもTEMは必須となるでしょう。今後はさらにユーザビリティを改善していく必要があります。」と遠藤は今後の展開を語る。
半導体の発展に、SEMやTEMが大きな貢献をしてきたが、今後は JEM-ACE200Fがさらに進化を促すことだろう。

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