藤田 規之, 長島 大輔 藤田 規之, 長島 大輔
Interview 12

JEOL (Germany) GmbH
Technical Support Engineer for
Electron Beam Lithography System
藤田 規之

JEOL (Germany) GmbH
Technical Support Engineer for NMR
長島 大輔

  • 藤田 規之, 長島 大輔1
  • 藤田 規之, 長島 大輔2
  • 藤田 規之, 長島 大輔3

ヨーロッパの市場展開を支える
ドイツ法人の日本人駐在員たち

日本電子の製品は海外でも高く評価され、年々、販売が拡大している。各製品のサポートを行うサポート・エンジニアは欧州各法人にいるが、ドイツ法人ではそのマネジメントを行う日本人駐在員が活躍している。彼等はミュンヘンを拠点に、ドイツ国内だけでなく欧州全域をサポートしている。スポット型電子ビーム描画装置を担当する藤田規之と、核磁気共鳴装置を担当する長島大輔にその苦労とやり甲斐を聞いた。

藤田 規之, 長島 大輔1
藤田 規之, 長島 大輔2
藤田 規之, 長島 大輔3

ドイツ法人でヨーロッパのテクニカル・サポート

マルチビーム描画装置は生産効率を重視した産業用として主に使われているが、スポット型電子ビーム描画装置(以下、EBL)は、より微細な加工を可能とするため企業だけでなく、大学や研究所の研究用としても多く使われている。 ヨーロッパ全域で、このEBLのサポートを行っているのが、ドイツ法人でテクニカル・サポート・エンジニアである藤田規之だ。
「私の仕事は、すでに納入されているEBLの定期メンテナンスやトラブル対応、修理、あるいは新規販売先への納入作業です。トラブルと言っても当社の製品は安定しているので、それほど故障は起きません」
ただし、当然ながら部品交換も生じるので、一定数部品を在庫し、部品を供給するシステムも完備している。
核磁気共鳴装置(NMR)も同様に大学や企業の研究所で主に使われている。ドイツ法人のテクニカル・サポート・エンジニアである長島大輔は、各国のサポート・エンジニアと連携しながら、藤田同様に装置の納入・立上げからメンテナンス、またトラブル対応などを行っている。
「NMRはなかなか複雑な装置なもので、営業からの質問に答えるほか、直接お客様から電話やメールの問い合わせもあるので、その対応もしています。この装置にはSCM(超伝導マグネット)も含まれており、SCMは液体窒素や液体ヘリウムなどが使われるので、納入時にはそのデリバリーなども神経を使いますね」と長島は言う。

顧客は見た目の美しさやデザインにもこだわる

日本電子のEBLが高い評価を受けているのは、「安定性」だと藤田は言う。 「位置精度などのスペックが競合製品より高いだけでなく、安定的にその精度を維持して描画できるのが当社の強みです。ただし、お客様は性能の高さだけでなく、生産性や効率性、使いやすさを重視しており、当社も現在、力を入れて開発を進めています。」(藤田)
一方、長島は性能や安定性はもちろんのこと、ヨーロッパでは見た目の美しさやデザイン性にこだわる顧客もいるという。
「ケーブル1本1本のクオリティーにこだわるお客様もいるほど、見た目や洗練さも要求されるのが欧州市場です」(長島)
NMRについて、欧州は歴史的にもNMRの先端研究が進んだ地域であり、日本電子にとって今でもチャレンジングな市場である。しかし近年、新規プローブ(検出器)を開発し、従来2種類のプローブが必要だった測定を1種類ですむようになって顧客から好評を得ている。また、固体試料を測定するNMRシステムも日本電子の強みの1つだという。
さらに、NMRの納入設置・立上げの際に、従来サポート・エンジニアの人数が少なく、納入に使用する治具も不足していたが、欧州各地域で治具やエンジニアが拡充されサポート体制が増強されたことで顧客満足度が上がっている。

顧客には素早いレスポンスを

EBLについても、2年ほど前から中心部品である電子銃の寿命が大幅に長くなり、顧客にとって大きなコストダウンが実現した。
「これは大発見だと個人的に思っているのですが、日本電子の技術者が電子銃を劣化させている原因を突き止め、ある簡単な改良を加えただけで、従来1年ごとに交換していた電子銃を少なくとも2~3年保つようにしたのです。お客様はコスト削減できるし、欧州各法人としても部品を購入して交換する必要がなくなるし、ウインウインでした。これは本社の生産技術や営業、サービスが一丸となって課題に取り組んだ成果だと思います」と藤田は語る。
長島は顧客に対する姿勢として「前のめりに素早くサービスを提供する」ことをモットーとしている。
「各国のサポート・エンジニアにも言っていますが、まず、すぐにリアクションすることを徹底しています。お客様訪問時には、積極的に色々な話をすること。我々サービス員はお客様の本音を引き出せる立場にいるので、積極的にそうした場を作っています」
藤田も「とにかく早いレスポンス」と言う。
「お客様に対しても社内でも同じですが、時間がなくてもメール1本すぐ返事を出すことです。また、お客様は教授や研究者が多いので、自分が大学にいたときのことを思い出し、当時、担当教授がどういう答え方を求めていたかを意識して理屈立ててきちんと話すようにしています。また英語で説明する事が難しい場合には、図や写真を使って説明することもあります。まだまだ語学力も不充分ですからね」

技術力をもっとアピールするべき

2016年に初めてドイツで海外駐在することになった藤田は「欧州法人では基本的にやりたいことを任せてもらえる」と言う。
「より責任感をもって仕事が出来るので、やり甲斐が強いですね。あと、ドイツでは顧客とサービス提供者が対等な関係だと感じています。お金を払えば何でもサービスするという考え方はなく、無理な物は無理と言える関係です。お客様のところに行くと『来てくれてありがとう』から始まるので、良い関係性を築き易いですし、業務にも集中し易いです」
2017年にドイツ法人に駐在となった長島は、イギリス法人も経験しており欧州に精通しているが、「やはりお客様に喜んでもらったときが一番うれしい」と語る。
「お客様から、あなたのおかげでサービスが向上したと褒めて頂いたことがあり、それを上司に伝えたら、『その経験を皆が体験・実現できるような組織づくり・サービスポリシーの啓蒙を目指して欲しい』と言われました。属人的でなく、システマティックなサービス、それも血の通ったシステマティックなサービスを作れという意味ですね。帰国までに何とか形にしたいと思います」
日本電子はヨーロッパにおいて、まだ「顕微鏡の会社」というイメージが強いという。藤田は「すばらしい技術を持っているのだからもっとアウトプットをして、日本電子の名を世界に浸透させたい」と言う。そのためにも「ヨーロッパでも受託分析やリモートシェアリングサービスなどを展開していくべきです。実機を備えたデモンストレーションルームも必要です」と長島。
まだまだヨーロッパで、日本電子のサービスを展開する余地は大きいようだ。

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